令和4年7月24日、クリスマスイブを5カ月も前倒しにしたサンタクロースたちが、気仙沼市内をバイクで疾走。
笑顔で大きく手を振りながらパレードしました。
季節外れのサンタライダー達。
町の人々からはさぞかし煙たがられるだろうと覚悟していきましたが、
その反応は意外なもので…。
「一緒に写真を撮らせてください!」と、お子さんを連れてくる道すがらのお母さん。
「面白いですねぇ、どうして夏にサンタなんですか?」と、質問してきてくださった奥様。
対向のファミリーカーから、お子さんと一緒に笑顔で目いっぱい手を振り返してくださるご家族。
コンビニの駐車場から大勢で手を振ってくれた日本一周中の学生さんたち
宿の窓から写真を撮りながら手を振ってくれた外国人
写真には残せていないけれど、そんな優しい街の人々の風景は、サンタたちの記憶に深く刻み込まれました。
Peacemaker宮城支部が初めて開催した「宮城サンタライダー」。
今回はその様子と、開催に至る経緯などをお伝えしていきます。
どぉして真夏にサンタなの?
私たちはリアルなサンタ
バイクツーリングによる社会奉仕活動を行ってきた私たちPeacemaker。
その根幹となっているのが、毎年12月に行ってきた「サンタライダーズ」の活動です。
ライダーがサンタになって走る光景も、今では珍しいものではなく、年の瀬には各地で見られるようになってきました。
しかし、私たちは単なる仮装ツーリングではなく、児童福祉施設への訪問するリアルなサンタクロース。
子どもたちに「優しい時間」を届ける活動として「Run for Kids!」を合言葉に、この活動を継続しています。
ダイアル189の啓もうで、児童虐待にクサビを
サンタとして施設を訪ねたある時、私たちは子どもたちの入所理由の大半が児童虐待であることを知り、児童虐待防止啓もう活動を真剣に取り組んでいこうと決心を固めました。 その想いを具体的に形にしたのが、2016年からはじめた千葉レンジバイカーズ(児童虐待防止活動)です。
これはバイクの機動力を活かして、児童相談所虐待対応ダイアル189の啓もうを行う活動で、その趣旨は公に認められ、千葉県・千葉市の公式な児童虐待防止PR活動として行われています。
私たちは今後もこの活動を、その必要がなくなる日がやってくるまで続けていきます。
東北・千葉の絆は太く
さらに、Peacemakerでは児童福祉への支援活動と並行する形で、災害地の経済復興支援にも積極的に取り組んできました。
これは未曾有の被害をもたらした、2011年の東日本大震災の年に現地の復興を応援するために制作した「REVIVE!」ステッカーの販売が発端となったもの。
当時がれきと化した東北の街の中で、このステッカーをバイクに貼り、街の復興に奮闘した現地のライダー達からの写真や便りが礎となり、以来、千葉・東北のライダーの絆は今もガッシリと強く保たれて、この絆がやがてPeacemaker宮城支部発足へとつながります。
子どもたちの未来と街の繁栄に貢献したい
私たちPeacemakerの活動は、ここまでお話した通り、
児童福祉支援
災害地復興支援
その他、
「バイクツーリングによるまちおこし」を含めた3つの柱から成っています。
昨今では各地で大きな風雨災害が相次ぎ、そのたびごとに現地の観光地は甚大な被害を受けてきました。
私たちも被災した中、壊れかけたお店で必至に営業を続けながら街の復興に努める人々の姿に心を打たれ、私たちは、2019年にこれまで開催してきたイベントのノウハウを総動員した「千葉オレンジライダーズツーリングラリー」を開催し、このイベントを通じて、微力ながら街の力になろうと奮闘しました。
この千葉オレンジライダーズツーリングラリーは、ツーリングの途中に設定したボランティアポイントでダイアル189の告知啓もう活動にも加わっていただくという、これまでのオレンジバイカーズの活動にスタンプラリーのゲーム性を加味したもので、一般から募集したライダー達がツーリングをしながら協力店を巡り、飲食等楽しみながらスタンプをコンプリートさせることを、地域の活性に役立てるという取り組みです。
その後、コロナ禍による縮小を経験しつつも、私たちはこの活動の規模を大幅に拡充し、2022年度には「RIDE189 TOURING RALLY」として、宮城県&千葉県で同時に開催し、これまでにない広域社会貢献活動として実施しています。
真夏の気仙沼にサンタな理由(わけ)
バイクを使った児童虐待防止PR活動。
それはどんなにバイクに機動力があったとしても、場所を変えて即席に実施できるほど容易なものではありません。
千葉の場合は14年間地元の児童福祉行政と共に気づいてきた「地盤」があるわけですが、初開催の宮城では施設との交流・つながりをこれから築いていく必要があり、千葉とは勝手が大きく異なります。
しかし、宮城には震災に端を発し、さらにはコロナ禍の影響で増加の一途をたどる児童虐待の現状が大きな社会問題。
「だからこそそこに手を差し伸べたい」という、宮城支部のスタッフたちの熱意が、実行への原動力となりました。
宮城県に児童養護施設は5ヶ所。
県内に限らず全国的に児童養護施設は、命に係わる加虐待ケースの親等から子どもたちを護るためにセキュリティが厳しく、外部から受け入れる第三者の施設介入についても厳重です。
活動実績が豊富な千葉であれば、いくつかの施設に班を編成して訪問し、子どもたちにゆったりとした時間をプレゼントできるのですが、宮城でお初の私たちは、まだまだ警戒の対象。
私たちの活動を認めていただき、受け入れてくださるまでの道筋はとても難しい挑戦でしたが、それでも長期間にわたる交渉の末、気仙沼の社会福祉法人旭が丘学園様に受け入れていただけることとなりました。
ですが根本的な問題として、サンタ=クリスマス=冬という公式に当てはめると、東北・宮城は雪、凍結が必須なシーズンであるため、季節的な課題を克服する必要があります。
それでも、「オーストラリアでは真夏にサンタが来るものだ」という前向きな発想から、サマーサンタならどうかということで、この問題もクリア―。
真夏の「サンタライダー宮城」はこうして実施へ進むことができたのでした。
しかしながら残念なことに、実施予定日間近にコロナ感染が再び拡大し、感染予防の観点から、今回予定されていた子どもたちとの交流は中止になってしまいました。
「子どもたちも、真夏にサンタが来ると聞いて楽しみにしています」と、伺っていたのでそのことが心残りですが、こればかりは仕方ありません。
結局、訪問は私たちの代表者に数名に限られましたが、Peacemaker で用意したお菓子の詰め合わせや衣類、支援企業や支援者から託された新品未使用の絵柄付きフェイスタオル・ケニーロバーツジャパンラリーのオリジナルTシャツ(阿蘇ライダーズベース様より寄付)等、合計約180枚を菅原竜喜 園長はじめ職員の方々へお渡しすることができました。
はじめの一歩、これから進歩
子どもたちと触れ合うことができなかったのは残念でしたが、これはまさしく宮城サンタの第一歩。
予想以上に街の人々が暖かく迎え入れてくださったことに、サンタたちは皆たしかな手ごたえを感じ、早くも次の夏に、子どもたちの笑顔に出会えることを楽しみにしています。
千葉では既に14年目のサンタライダー。
毎年のことなので、
「クリスマスになるとこの辺にサンタのバイクがいっぱいやって来て、子どもたちの施設にプレゼントを届けに行くらしい。」
と、私たちの目的を知って手を振ってくださる方も少なくはなく、サンタが街を疾走る風景が、房総半島では一つの風物詩になっています。
そんな風に、
「気仙沼には真夏にサンタがやってくるんだぞ!」
と、いつしか季節外れのサンタクロースが街になじんで、子どもたちからも、街の人々からも楽しみにされ、自慢されるような存在になり、街の人々の意識を子どもたちの幸せにつなげていくために、Peacemaker宮城支部は、地域との対話を続け、継続という責務を担いながら、更なる地域との交流を深めていけるよう疾走り続ける決心を固めたところです。
今回、ご協力いただきました気仙沼のcafeRSTさんをはじめ、多くの気仙沼市民の皆さま、気仙沼市をはじめ宮城県の方々、そして私たちの活動を受け入れてくださった社会福祉法人 旭が丘学園に心から御礼申し上げます。
ありがとうございました。
また来年も継続して進みます。美しい海と山に囲まれ豊かな環境に育つ子どもたちへ会いに行くために。
Run For Kids !!
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